茶の湯の精神とともに
北浦抹茶では、私たちの仕事を、今も息づく文化の系譜——茶道(Sadō)の延長線上にあるものと考えています。その精神に誠実であることを軸に、抹茶本来の味わい、哲学、そして文化的な意味を、世界へと伝えていきたいと考えています。十分な管理や基準が行き届かない市場だからこそ、収穫や製法の透明性は欠かせないもの。産地だけでなく、栽培から文化へ、土から精神へとつながる実践のあり方こそが、本物を形づくると私たちは信じています。
原料と製法
北浦抹茶にとって、サステナビリティやローカリズムは新しい概念ではありません。それは、日本の茶文化に根づく、変わらぬ世界観の自然な表れだと考えています。私たちは伝統的な日本茶栽培を守り続けるため、静岡県の中心、牧之原にある家族経営の茶農家からのみ原料を調達しています。栄養豊かな土壌に恵まれたこの地は、長く茶づくりが受け継がれてきた土地です。
茶畑では、寒冷紗(かんれいしゃ)による被覆栽培を行い、自然な風と湿度を保ちながら、自然仕立てで茶樹を育てています。この丁寧な環境づくりが、抹茶ならではの豊かな甘みと、奥行きのある旨みを引き出します。収穫は一番茶と二番茶に限定し、品質の高い原料のみを使用しています。
収穫された碾茶は、5人の専任スタッフが一枚一枚手摘みし、蒸しの工程まで細やかに管理。その後、京都へ直接送られ、伝統的な石臼挽きによって抹茶へと仕上げられます。40gの抹茶を挽き上げるのにかかる時間は約1時間。そこには、効率よりも技と時間を重んじる、日本のものづくりの姿勢が息づいています。
一服の哲学
伝統的な製法を大切にしながら、私たちは抹茶を味わう時間そのものにも、意識を向けてほしいと考えています。北浦抹茶は、混ぜたり飾ったりせず、そのままの味わいを、意図をもって楽しむためにつくられました。茶の湯が教えてくれるのは、悟りはどこか特別な場所にあるのではなく、茶碗の中に、呼吸の中に、そして二度と繰り返されない一瞬の出会いの中にこそ宿るということです。
